ちっちゃかった頃、お母さんがよく
洋服を編んでくれた

セーターだったり　スカートだったり
帽子だったり　ベストだったり・・・

でも育ち盛り。
すぐにちっちゃくなっちゃって

そんな時　そのちっちゃくなったセーターを
全部解いて、新たに作ってくれる。

いつもそう

解いた毛糸を私の両手に巻いて
それをお母さんがリズミカルにクルクル巻いていく。

クルクルクルクル　まんまるに。
また新しい洋服が編みやすいように。

巻いていく間、お絵描きは出来ないし　お菓子も
食べれない

すぐに飽きちゃって
「ま～だ～？？」なんてグチ

「ちゃんと持って！！たるんでちゃ巻けないでしょ！」
「モ～疲れた～～～」
「可愛い洋服作るんだから　ちゃんと巻かないと」

そんな会話をしながら　クルクルクルクル・・・・・
私の不満と一緒に毛糸もまんまる大きく育ってく。

「今度はどんなの作ろうか？」
「も～なんでもい～よ～」
「またそんなこと言って～上に着るのが無いからカーディガンにしようか？」
「じゃ　かわいいのがいい！」
「誰が作ると思ってんのよ！」
「アハハ～」

その間も　クルクルクルクル。
どんどんどんどん　おっきくなる　まんまる毛糸

「出来た！！ありがとう！
いっちゃんのおかげで助かった！」

でっかい　まんまる毛糸が出来上がる頃
あの不満はどこへやら

おっきい期待で　まんまる笑顔になるのでした




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